うたかたのあとさき

泡沫のごとく儚き想いを形に

哲学科卒業生が考えるドーナツの穴を残しながらドーナツを完食する方法

 

はじめに

 

基礎基本へと立ち返る、ほうじょうです。

 

今回は有名な哲学の難題、

「ドーナツの穴を残しながら、ドーナツを完食すること」

に挑戦してみたいと思います。

結論から言いますと、正攻法ではこの難題に答えることはできません。

 

しばらくは正攻法で突破しようとしますが、最後の方で邪道を用いています。

納得できないという方はコメントに納得できなかったということをお知らせください。

理由はできればほしいですが、なくても構わないです。

 

ドーナツの定義とは?

 

まず、ドーナツと言われれば、一番始めに浮かぶのは

穴の空いたリングドーナツですよね?

 

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こんなのです。

 

ですが、あんドーナツなどの穴が空いていないタイプのドーナツがありますよね?

つまり「すべてのドーナツに常に穴が空いている必要はない」

という定義がドーナツには含まれているように思われます。

 

今回は問題を単純にするためにあんドーナツの事は考えません。

ただでさえややこしいので、これ以上では私の技術では取り扱えないためです。

後々書くかもしれません。

 

ドーナツの穴

 

ここで残したいドーナツの穴を考えます。

穴と言っても意味は様々です。

 

穴はドーナツという食物に限定したとしても、

 

  • はじめから意図的に開けた穴
  • 後で勝手に開けた穴
  • ミクロレベルでの穴
  • むしろドーナツの可食部分を世界全体の穴と考える

 

簡単に考えても、以上のような4種類の穴がドーナツに存在しうるわけです。

 

では、どの種類の穴を私はここで残す必要があるでしょうか?

それは「ドーナツの穴を残しながら、ドーナツを完食する」

この問題文では制限されていません。

これら4種類の穴をすべて活用することができます。

 

これら4種類の穴を残しながら、ドーナツを完食することはできるでしょうか?

 

はじめから作られた穴を残して完食する

 

まずはリングドーナツの場合を考えます。

一番お手頃ですからね。

 

さて、リングドーナツにははじめから意識的に穴が開けられています。

その穴が消滅しないように工夫して、食べる必要があります。

 

この場合のリングドーナツに穴が存在する条件は

 

  • ドーナツの生地によって穴が囲まれていること
  • 穴を認識するために必要なだけの幅と量をドーナツの生地が持つこと

 

以上の2点です。

 

つまり、普段どおりに穴に向かってかじりつくのではなく、

穴を残すように食べる必要があります。

 

そして、ギリギリ見える状況までドーナツの生地を食べる必要があります。

 

しかし、ドーナツの生地が残っている状態で

「ドーナツを完食した」

そう言い切れるでしょうか?

 

言い切ることはできないでしょう。

なにせ目の前に限りなく薄くなったドーナツが残るからです。

 

そのドーナツを完食し、この世から消し去るためには

はじめから開けられた穴ごと食べる必要があります。

はじめからドーナツの穴は生地ありきで

穴を残しながら食べきることははじめの定義からしてできない。

 

それがわかりました。

 

それでは次の穴の残し方に移りましょう。

 

ドーナツの生地に穴を開けてしまう

 

はじめから空いている穴を残しながら、

ドーナツを食べるのは不可能だとわかりました。

 

それでは自分でドーナツに穴を開けてみましょう。

 

小さな針をリングドーナツの一部分に突き刺して、

あとは普段どおりに食べていきます。

 

しかし、やはり問題が生じます。

 

針で開けた穴を残しながら、ドーナツを完食しようとしても、

その小さな穴を中心にドーナツの生地を食べ残す必要があるのです。

 

1つ目の問いと状況は全く変わりません。

生地がある限り、穴を残しながら完食することはできないのです。

 

ミクロレベルでの穴

ここで光学顕微鏡さんに登場していただきましょう。

するとドーナツの生地にミクロレベルでの隙間があることがわかります。

 

つまり、ドーナツの食べかすレベルならば、

穴を残して完食することができるのではないかという試みです。

 

さて、この試みは成功するでしょうか?

 

端的に言うと成功しません。

 

理由は単純です。

食べかすが残っている時点で完食には至っていないためです。

 

ドーナツの穴において食べかすを許容するかどうかの話にまで遡ることになりますが、

生地が残ることにはかわりはありません。

 

ならばどうすればいいでしょうか?

 

発想を逆転させましょう。

 

自分の世界から見てドーナツという穴を消し去る

非常にアクロバティックな方法として

ドーナツの生地自体を世界からの穴と考えましょう。

 

むしろ、ドーナツの穴、

つまり空気が通るところこそをドーナツの穴と考えることです。

 

この場合、むしろドーナツという穴を食べることになるでしょう。

つまり、何も食べないということがドーナツという穴を残す手段となるのです。

 

しかし、穴を完食することはできません。

生地に触れることすらも難しくなります。

これでは食べることもままなりません。

 

自分では良い方法だと思いましたが、全くダメダメですね。

触れることすらもできません。

 

はじめから欠損しているものを残すということ

 

今回は簡単に4種類の方法でドーナツの穴を残しながら、

ドーナツを食べてみようとしました。

 

しかし、いずれも失敗し、はじめは良案だと思った「ドーナツ自体を穴とする」

ことすらも通用しませんでした。

 

では、なぜこのような難題になってしまったのでしょうか?

 

それはリングドーナツという定義の中にリング状であること、

穴が空いている事自体が収められているためです。

 

例えば、リングドーナツをひとかじりで穴の部分を欠けさせるとしましょう。

するとリングドーナツはたちまち食べかけのドーナツとなります。

穴を囲えていません。

つまり、穴は消滅します。

 

はじめから穴が空いてない種類のドーナツは論外です。

存在しない穴、欠損していないことを定義として持つ、

リングではないドーナツに穴は残りません。

 

最初の定義からして、

ドーナツの穴を残しながらドーナツを完食することは不可能だったわけです。

穴自体、何かに囲まれることによって成立するわけなので。

 

つまりは最初の定義自体に疑問を唱える必要があります。

ドーナツの穴の定義を別種のものに変換する必要があります。

 

ドーナツというあだ名を持つ人の弱点(穴・欠損)を残しながら、受け入れること。

こう考えてみましょう。再定義をしてみましょう。

 

この場合、完全に一般的な考えとは異なります。

 

食べるということを栄養補給のための手段ではなく、

受け入れることの比喩としましょう。

 

「どんな無理難題も平らげて、自分のものにしてしまう」

こういった比喩です。

 

この場合は一応成り立ちますが、そういうことなのか?という疑問は残り続けます。

 

まとめ

 

今回はドーナツの穴を残しながら、ドーナツの生地を完食するという難題を

正攻法で突破しようとして失敗しました。

 

はじめから定義に含まれている穴を残しながら、完食することはできません。

ドーナツが消滅すると同時にドーナツの穴も消滅します。

ドーナツが消滅しなくても、ドーナツの穴は消滅します。

 

様々な方法でやってみましたが、正攻法では突破できないとわかりました。

 

そこで比喩を使ってみました。

 

答えを出すためだけの無理やりな比喩です。

 

「ドーナツ」を「人のあだ名」とします。「ペットの名前」でもいいですね。

「その穴」を「欠陥」と再定義します。

そして、「完食」の定義を「完全に受け入れること」に比喩的に解釈します。

 

そうすれば、ドーナツというペットの欠陥を完全に受け入れるという意味で

「ドーナツの穴を残しながらドーナツを完食する」という問題の答えは出ます。

 

私ではこれ以上は不可能でしたが、もしかすると別解はあるかもしれません。

みなさんもこの機会に無理難題に柔軟に対応してみてはいかがでしょうか