うたかたのあとさき

泡沫のごとく儚き想いを形に

哲学科卒業生が作る哲学マップ

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前置き

形のないものを形にするべく確かな拠り所を探す、ほうじょうです。

 

哲学マップを作成し、哲学をわかりやすくしてみました。

しかし、未だ私の力が至らず、分かりづらい箇所があるかもしれません。

不十分な箇所があるかもしれません。

その場合は、「おっとミスってるぞ」とか「わかりづらいな」とか感じてください。

その感覚は正しいものです。

もしも、親切にも間違いや不十分さを指摘してくださるならば、ご連絡ください。

可能な限り反映します。

はじめに

 こんにちは。

ほうじょうです。

今回は

哲学が知りたい!

でもどこから触れていいかわからない!

という方向けに各種哲学の簡単な説明をしたいと思います。

あと、途中に簡単なマッピングを作ったので参考程度にご覧頂きたいと思います。

 

実は哲学は万学の祖と言われています。

言われているんです。けっこうちゃんとした人に。

 

では、それはなぜでしょうか?

それは哲学がありとあらゆる学問のベースになっているからです。

 

でも、哲学は重視されていないじゃないかという方、おっしゃるとおりです。

しかし、哲学が細分化されてあらゆる学問が生まれました。

哲学は形を変えただけです。

だから、結果的に「哲学」というカテゴリーが重視されていないのです。

 

哲学と神学

 

学問は哲学もしくは神学から派生してきました。

これは歴史上の事実です。

太陽じゃなくて、地球のほうが動いてるじゃん?と考えたコペルニクスですらも神学者です。

現在のXY座標の生みの親はデカルトです。

どれだけ科学的なものでも生みの親は哲学者や神学者だったのです。

このことは注意深く考えるべきです。

哲学を学ぶ意義はここにあります。

あらゆる学問は哲学を細分化したり、派生させたりして生まれたものだからです。

学問を全体的にみるならば、哲学は必須です。

哲学はあらゆる学問を生み出し、あらゆる学問から一旦切り離されました。

そのため、学問を外から眺めるチャンスになるためです。

 

しかし、宗教や哲学は今は重要じゃないじゃないかと言われるかもしれません。

それは違います。

 

例えば、宗教。

現在は力を弱めているイメージがありますが、全くそんな事はありません。

単に宗教と分かりづらくなっているだけです。

 

誤解を恐れずに言うならば、疑似科学は宗教のそれです。

意図的に宗教と分かりづらくされている宗教なのです。

 

哲学もそうです。

日本では哲学を重視されていません。

しかし、学問の生みの親は哲学です。

学問を広く見るためには哲学を学び、広くものを見る視点を手に入れる必要があります。

自分の興味関心だけに目を通すのではなく、哲学を通してその他の学問にも目を向けてもらいたいです。

そうすれば、自分の興味関心に思いもよらない方向から答えが降って来る可能性が高まるからです。

 

それでは、具体的に哲学からどの学問が生まれたの?という疑問に答えます。

哲学に直接的な影響を受けている学問はざっとあげると、数学、精神医学、進化生物学などなどです。

間接的なものならば、もっと多くの学問が哲学に影響を受けています。

そのため、何かを知りたい!もっと多くのことが知りたい!という方には一度でもいいので、哲学に触れておいてほしいです。

哲学は学問の方法を教えてくれます。

そして、学問の根源です。

 

哲学マップ

 

さて、今までは哲学という学問の話でした。

ここからは本当に簡単に哲学の全体像を書いていきたいと思います。

全体像をわかりやすくするために哲学マップを作ってみました。

(トップにある画像と全く同じものです。)

 

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それでは、各種哲学の本当に簡単な説明をします。

 

ギリシャ哲学

 

大まかに分けて、原始哲学とソクラテスプラトンアリストテレスの哲学がここに入ります。

哲学の本当の根源はここにあります。

そのため、ありとあらゆる哲学が最終的にこの場所にいきつきます。

哲学を学ぶならば、ギリシャ哲学はざっと目を通しておいたほうがいいでしょう。

参考文献に熊野純彦さんという方の書いた『西洋哲学史』があるので、そこから入ると哲学の全体がわかりやすいです。

 

キリスト教神学

 

「哲学は神学の端女」と呼ばれた時代があります。

このとき、哲学は手段として用いられるのみでした。

しかし、重要なのはキリスト教が哲学に大きく食い込んでいるということです。

キリスト教の影響を避けて、哲学を論じることはできません。

 

デカルト

 

彼の登場によって、哲学は大きく方向転換します。

「われ思う、ゆえに我あり」(引用:『方法序説』)

という命題は現代でも否定し難い絶対的真理として力を持っています。

私もいっちょ否定してみっか!と甘い気持ちで10時間ぐらい考えたのですが、すべて哲学の先生に反論されきってしまいました。

一人の人間の10時間程度じゃこの絶対的真理を打ち破ることは不可能です。

そのことを知っておいてほしいです。

だからこそ、現在でもなお力を持っているのですから。

 

大陸系哲学

デカルトに続き、スピノザライプニッツが入ります。

彼らはデカルトとほぼ同時代の哲学者です。

スピノザ神学者によっています。

ライプニッツは数学者によっています。

どちらも面白い思想のため興味のある方は触れてみると得をします。

 

イギリス経験論

ロックとヒューム、それから少し外れてバークリーがいます。

 

特にヒュームは現在の認知心理学の先駆けとも言える論を展開しています。

認知心理学に興味を持つ方は古典としてヒュームの著作に触れてみるといいと思います。

 

ドイツ観念論

 

カント、ヘーゲルが代表です。

カントとヘーゲル以外にもフィヒテシェリングもここに入ります。

 

カントは凄まじい哲学者です。

カントこそが今までの神を殺したのだと言わしめられるほどです。

彼の哲学は理性の限界を語るものです。

どこからどこまでが理性の範疇なのかを論じます。

例えば、「宇宙の始まりはある」と「宇宙の始まりはない」という完全に対立する命題を証明してしまったのです。

これ以降、理性に対する楽観的な態度は許されなくなりました。

 

ヘーゲルは精神を発展させるという思考のもとに著作を書きました。

その力は凄まじく現在でも魅了されるものは非常に多いです。

特に現代で彼に影響を受けた人の中で最も重要な人物がいます。

彼はマルクスです。

マルクスヘーゲルに影響を受けて、思想を展開し、近代を大きく変えました。

 

ニーチェ

 

哲学の転換期です。

まさに世紀末の思想を表しています。

ここから哲学には相対主義的考えが生まれるようになります。

相対主義とは唯一絶対の真理はないという信念を持つことです。

 

現代思想

 

ベルクソンニーチェの影響を受けた実存主義者がここに入ります。

私はここが専門でした。

 

ベルクソンは常識を徹底的に理論化しました。

実存主義は存在の苦しさを強調しました。

この程度の文章しかかけないことがもどかしいです。

もっと深い話は後々行います。

 

現在思想

 

これは私の造語です。

現在新しく生まれた哲学的な問題のことです。

 

正義論

哲学的ゾンビ(存在への懐疑論

こころの哲学

幸福論

 

などなどが入ります。

 

たぶん、ここが一番とっつきやすいと思います。

現在進行系で問題になっています。

そのため、きっと読者の方にも「幸福って結局何?」とか「本当に意識なんてあるの?」とか「そもそも心とか感情って何?」とか「何が正義なのかまったくわからん」という方はこのあたりに触れてみるといいと思います。

ちょっとググってみましょう。

このあたりはインターネットでも情報が割と充実しています。

 

まとめ

 

いかがだったでしょうか?

哲学は相互に密接に関係しています。

一つの哲学が膨大な思想と関係しています。

複雑過ぎて、分かりづらいかもしれません。

しかし、複雑すぎて分かりづらいという感覚が重要です。

本当に簡単に哲学をまとめるだけでもこんなに複雑です。

 

世の中そう単純ではないと考えている方はどうして現在がこんなにも複雑なのか多少はわかると思います。

これだけ要素があったら、複雑にもなるわと納得していただけると思います。

 

そして、複雑過ぎてわからない場合は自分に引きつけてください。

必ず自分の問題に置き換えてください。

それが哲学の王道です。

 

複雑な問題は単純な問題の積み重ねです。

一旦単純な問題に取り掛かり、その問題と関係する別の問題に取り掛かっていきましょう。

複雑なものを複雑なまま理解することは不可能です。

 

きっと興味のある哲学が見つかるはずです。

そして、考えてみてください。

それが哲学の醍醐味です。

自分で考えること、それこそが哲学だからです。

 

参考文献

 

『西洋哲学史 古代から中世へ』著:熊野純彦 岩波新書 2006

『西洋哲学史 近代から現代へ』著:熊野純彦 岩波新書 2006