哲学科卒業生が教える哲学専攻6つの心得
考えてしまう癖がある、ほうじょうです。
私はかつて哲学専攻に通っておりました。
そこで学ぶときに感じたことを今回記事としてまとめたいと思います。
本当に哲学専攻に進んでもよいのか悩んでいる方に一つの指標を提供できればと。
少なくとも、以下の6つができれば、教授からの覚えもよくなりますよ。
- 自分が何に興味を持っているのかを明確にし続ける
- 哲学史を一通りさらう
- 各哲学者の思考に対して自分の考えを述べてみる
- わからないことに慣れる
- 様々な学問に接する
- 人が読んでわかりやすい文章構造を身に着ける
- まとめ
自分が何に興味を持っているのかを明確にし続ける
ここにたどり着いた方は哲学に興味があり、
大学で哲学を専攻してみようと考えていらっしゃる方だと思います。
ですが、哲学専攻といっても千差万別。
西洋哲学・東洋哲学、隣接分野に社会学・心理学・宗教学などがございます。
まずは自分の知りたいこと、考えたいことを明確にしましょう。
私などを例に挙げますと、倫理の教科書に書かれている内容では満足できない、
間違っているのではという確信があった。
ならば、学びに行こう。そして、論駁しよう。
そのような思考でした。
「われ思うゆえにわれあり」などと言われても、思うことだけが私の成立する条件ではないと直感したりなどですね。
これはごくごく一部ですが、とにかく倫理をもっと突き詰めたかった。
それが哲学専攻を選んだ動機です。
しかし、それだけでは哲学専攻で右往左往してしまうことになります。
多種多様な思想を学ぶ講義、耳慣れない言葉の羅列された哲学書、それを読んだうえで内容をまとめ、自分の考えを付け足すレポート作成などがノルマとして課されます。
本当に知りたいこと・考えたいことでなければ、挑むのに気勢をそがれてしまいます。
ですから、自分が何を学び、何を考えるか。
それを明確にしながら、講義を受けることをおすすめします。
哲学史を一通りさらう
西洋哲学では必ず哲学史を一通りやります。
とりあげられる哲学者は揺らぎはありますが、だいたいどの哲学史でも取り上げられる哲学者がおります。
まずは彼らの思想の理解に取り組みましょう。
現在の哲学は彼らの思想の上に成り立っています。
現在哲学も元をたどれば、プラトンやデカルト、カントなどの有名な哲学者の残した難題に行き着くことになります。
一つ、必ずお伝えしたいことがあります。
あなたが思いついたことはすべてかつての哲学者が考え、文字にしています。
しかも、その思い付きは洗練されています。
自分だけの考えだ!
そのような確信は常に誤っています。
常に、です。
必ず哲学的な思考はかつての哲学者がすべて行っています。
だからこそ、哲学史を学ぶ必要があるのです。
自分の思い付きが自分だけのものではないことを知り、そのうえで彼らの洗練された思想を吸収しましょう。
そうしなければ、自分の哲学などは生まれえません。
この点については強く警告しておきます。
各哲学者の思考に対して自分の考えを述べてみる
哲学史を学んでいる途中、何か引っかかりを感じるでしょう。
その引っ掛かりが何かを明確にしましょう。
引っかかるということは自分の中の思考と書かれている内容が異なっていることを意味します。
そこに自分の所感を述べてみて、見比べてみましょう。
もしかするというほど違いはないとわかるかもしれません。
ですが、非常に大きな無視できない違いがあるかもしれません。
哲学において重要なのは疑問を持つことと疑問を解決するための作業です。
そして、哲学科ではそのような作業こそ評価されます。
結果的に解決するかどうかではなく、その試み自体が評価されます。
疑問を持ち続けることを忘れないようにしましょう。
わからないことに慣れる
哲学科に通うならば、必ず古典に触れることになるでしょう。
その古典は日本語訳されているでしょうが、ほぼ確実によくわからない言葉の羅列がみっしりと詰まっているのを見ることになるでしょう。
当然です。
なぜなら、時代が隔たっていて、かつて重要だったことと現在重要なことが異なっているためです。
だから、わからなくて当然。
それでも、読み進めていればなんとなくわかる部分が出てくると思います。
そこを足掛かりにすれば、全体の文章の解釈もしやすくなります。
読み勧めていけば、コツをつかむことができます。
ポイントは諦めないこと。
とにかく哲学書はわからなくても通読してみましょう。
通読すれば、わかる部分が必ずあります。
なぜなら、日本語訳されているからです。
わかる部分があれば、わけのわからない言葉の羅列が時に何を言っているかわかる
けど難解な書物となるでしょう。
それを繰り返すことで哲学書の理解に至るのです。
ちなみに専門の教授ですらも哲学書の頭から最後まで完全に理解しきるということはできません。すべてを理解できないことは恥ずべきことでは全くありません。
一部でも理解できるところがあるというところがポイントです。
わからないことはわからないままに先に進み続けましょう。
その先にはあなたの求めている何かがあります。
ちなみに哲学系の入門書は大学の図書館にたくさんおいてあります。
個人的にはちくま学芸文庫が一番哲学系の新書を出している印象にあります。
そちらから段階を踏むこともよいでしょう。
様々な学問に接する
哲学はかつて万学の基礎でした。
哲学は数学も物理学も生物学もありとあらゆる学問を包括していました。
それが現在は分化独立して、諸科学が生まれました。
哲学は諸科学の母であるといえます。
そして、母たるもの子の動向を把握するのは自然の人情でしょう。
哲学をやるのならば、ありとあらゆる学問に通底している必要があります。
現在の哲学は制度上文系に属しています。
しかし、それは明確に誤りです。
哲学に文理の区別は存在しません。
文系だから物理も生物も数学も学ばなくていいよね。
そんなことは決してありえません。
哲学には文理の区別なく学び、素養を身に着けたうえで挑みかかるべきなのです。
哲学だけでなく、別の学問に触れていきましょう。
人が読んでわかりやすい文章構造を身に着ける
ここからは大学生の義務のお話です。
大学生はレポートを作成する必要があります。
レポートには作法があります。
必ず結論から話し始め、引用した話と自分の意見を区別する必要があります。
各種レポート作法については良い本がございますので、必ず読んでおきましょう。
せっかく良い思考をしても伝わらなければ評価につながりません。
哲学科に所属するならば、レポートから逃れることはできないと覚悟しましょう。
まとめ
今回は哲学科卒業生の身から哲学科に所属する上での心構えを書きました。
以上の事々ができなければ、哲学科生とはいえません。
必ず習得しましょう。
特に日本ですと慣習的に哲学者の研究が義務付けられているため
現在哲学を学ぶにしても古典に触れる必要があります。
しかも、現在哲学といっても古典が必ずあります。
しかもしかも、だいたい英語です。
どちらにせよわからないことに慣れることは哲学科に所属する上で一番重要な心構え。
覚悟してください。
そして、身に着けてください。
わからないことに慣れることを身に着けてしまいさえすれば、社会に出てからも問題解決に戸惑うことは少なくなります。
哲学専攻に通うメリットはこのような点にありますね。
哲学専攻を正式に潜り抜ければ、万学に触れても戸惑うことなく吸収するだけの懐の深さが得られます。
皆様も正しい方法で哲学科生として努めましょう。
ここまで駄長文を読んでいただいた方には格別の感謝を。
ご読了ありがとうございました。
哲学は門戸が広いのでお気軽に入って、極限の思考に締め付けられてみてくださいね。