うたかたのあとさき

泡沫のごとく儚き想いを形に

ハロウィンの暴徒たち 奇祭の誕生を傍観する

 

今週のお題「ハロウィン」

 

 

はじめに

 

宗教学の見地から物申す、ほうじょうです。

 

今回は

昨今、世間をにぎわせ、渋谷をにぎわせた新しいハロウィンについて

思うところを書いていきたいと思います。

 

特に原始的なお祭りが平民や庶民のうっぷん晴らしだったところに着目したいです。

 

渋谷ハロウィン暴動事件

 

10月27日から28日にかけて、渋谷でハロウィンを名乗る謎の奇祭が催されました。

それは誰かが主催したということはありません。

かなり純粋に自然発生です。

 

そこで思ったんです。

「これは原始的なお祭りの研究材料になるな」と。

 

私は現地に赴いたわけではなく、twitterなどで断片を聞きかじった程度です。

実際に、この奇祭に参加したいとは思いませんし、渋谷に行くのもお金がかかりますから研究に難儀しているところです。

 

宗教学をたしなむ身としてはこの原始的で命の危険もある奇祭に参加したい思いもあるのですが、何分地方民なので……。

口惜しいような安心したような……。

 

そのため、みなさんの中に現在に自然発生したハロウィンと名乗る謎の奇祭について詳しい方にお話を聞きたいです。

 

私の知っているハロウィン

 

渋谷で催された謎の奇祭が利用しているハロウィンという名称。

実は私も聞きなじみがあります。

確か子供たちが仮装をして、各家を周り、お菓子をもらう行事だったと思います。

もともとは、古代ケルト人の収穫祭兼慰霊祭だったはずで

10年ぐらい前まではほのぼのとした行事が日本の中でも催されていたはずです。

 

ん?

 

渋谷ハロウィンで起こった出来事

 

パトカーを囲う人々

横転したトラック

 

何ですかこれ……?

 

原始的なお祭り

 

というわけでいったん従来のハロウィンのことは忘れます。

ほとんど関係ありません。

お化けに扮するという点で共通点はありますが、

お菓子を渡しあうとか先祖の慰霊だとかそんな精神はありません。

あるのは暴力的な激情のみ。

 

ということはハロウィンと名付けられていますが、

この事件はハロウィンとは分割するべきでしょう。

ハロウィンからの派生とも考えづらいです。

 

どちらかというと、中世ヨーロッパなどで王様が1日だけ馬鹿にされるような祭りに近いと思います。

 

要するに日ごろのうっぷん晴らし、原始的なお祭りの役割です。

 

お祭りはハレです。

普段の日常はケです。

 

このハレでは普段とは異なる秩序が一時的にもたらされます。

このハレの催事によって1年間のうっぷんを晴らし、

また秩序を取り戻すのです。

 

もっと難しく言うと、文化における破壊と再生がお祭りでは行われています。

現在の伝統的なお祭りでは形骸化してしまいましたが、

本来は暴動に近いような騒ぎがお祭りには必要です。

なにせうっぷん晴らしなんですから。

 

鬱屈とした精神が顕現する

 

それでは、本来のお祭りの役割からハロウィンと名乗る奇祭を考えていきます。

端的に言って、あの暴動は原始的なお祭りの一種だと思います。

参加した人々は日ごろたまったストレスを解消し、すっきりとして家路につくでしょう。

 

現在の日本にはそのような暴動が許容されていません。

昔はカジュアルにそして定期的に催されていた暴力的な衝動の解放としてのお祭りは現在ありません。

 

海外にはトマトをぶつけあったりで、けがをする可能性もあるお祭りがあります。

(世界の果てまで行ってQのあれです。)

 

ですが、日本にはほとんどありません。

 

聞き及んだ限りでは蘇民祭?というのがあるらしいです。

しかし、手軽に参加できるようなお祭りではないようです。

 

そこで本来は祭りをしなければ、正常な精神を保てない人々がなぜか渋谷に集いました。

そして、彼らは暴動を起こします。

一切の下準備なしに騒ぎ立て、ごみを残します。

当然ごみ掃除などはしません。

 

そこには秩序の再生としてのお祭りの姿は見えません。

本当に暴動です。

 

よくよく考えてみると、あれはお祭りではなかったのではないのでは……?

 

渋谷ハロウィン暴動事件は本当にお祭りの分類に入るのか

 

渋谷ハロウィン暴動事件では秩序の再生などは見られませんでした。

私が学んだお祭りの定義とは異なります。

 

あれはもしかすると、お祭りではなく、本物の暴動だったのかもしれません。

そこには何の主張もなく、何の意図もなく、それ故に何の秩序もなく、

巻き起こりました。

 

まとめ

 

今回は渋谷でハロウィンを名乗る暴動事件について考えてみました。

最初は原始的なお祭りの発生を間近に眺められるものかと思いましたが、

お祭りの定義に従うと、あれは祭りの段階に達していません。

 

まだあれは単なる暴動です。

秩序に支配された無秩序ではなく、無秩序による無秩序だったのではないかと思います。

 

実際、お祭りは権力者によって催されますし、事前準備も行います。

当然、後始末もします。

 

それが渋谷ハロウィンの暴動では見られませんでした。

 

もしかすると、昔のお祭りの原型は渋谷ハロウィンの暴動と同じようなものだったかもしれません。

ですが、少なくともそれは単なる萌芽であり、いまだお祭りの段階に達していないと感じました。

 

完全にお祭りの類かなと決めつけてかかっていたのですが、

ちょっとお祭りで片づけられるほど単純な事件ではないようです。